時代と向き合う額縁
スマートフォンひとつで写真を撮り、SNSに投稿すれば、世界中に一瞬で「想い」や「作品」が共有される時代になりました。誰もが表現者になれる時代。紙にプリントせずとも、日々の記録も、芸術作品も、画面の中で完結してしまう。そうした中で、「額縁」というプロダクトが、果たしてどれだけ必要とされているのか――。この問いを、私は時々自分自身に投げかけます。
しかし、最近確信を深めていることがあります。それは、「本物の空間に飾る」という体験が、デジタルでは代替できない価値になっているということです。
人は本来、目の前のものに触れ、じっと見つめ、空間を感じながら、感情を動かします。プリントされた写真やアートを、丁寧にフレーミングし、壁に飾る。その過程には、作品へのリスペクトと、空間を整える喜びが伴います。
そして、額縁という存在は、単なる飾りではなく「その行為を引き立てる器」なのです。
株式会社アルナでは創業以来60年近く、アルミ製の額縁を専門に作り続けてきました。時代が変わっても、私たちが大切にしているのは、「飾ることの意味を伝える」という姿勢です。確かに、安価で軽量なフレームが量販店に並び、ネットで簡単に購入できる時代です。けれど、私たちはその潮流とは少し違うところに価値を見出しています。
それは、“作品が主役である”という考え方に基づいた額縁づくり。目立ちすぎず、でも空間を引き締める。素材の質感、断面の角度、色味の深さ――。一つひとつの細部に、長年のノウハウと職人の手が宿っています。
最近では、ホテルやレストラン、ギャラリーだけでなく、個人のご自宅でも「空間を整える」アイテムとしてアルナの額縁が選ばれる機会が増えています。
デジタルが日常を席巻する今だからこそ、リアルな空間に本物の質感を取り入れたいというニーズが生まれているのかもしれません。
時代に逆らうのではなく、時代と向き合いながら、私たちは額縁というプロダクトの可能性を信じています。これからも、“飾る”という文化の未来を、一つひとつのフレームから紡いでいきたい。そんな想いで、私たちは額縁づくりに向き合い続けます。
