株式会社アルナ aluna

川瀬巴水 展覧会

大正から昭和にかけて風景版画を数多く制作した川瀬巴水(かわせ・はすい)の展覧会を見に行きました。
よく知られた抒情あふれる風景版画のほか、本の装丁や雑誌の表紙・挿絵・口絵などの多岐にわたる画業が紹介されています。

 仕事がら、作品のみならず額装の方もチェックしています。西洋の展覧会は作品にあった額縁で飾られており、大きさもまちまちです。一方版画の展覧会は額縁の大きさ、色が統一されている事が多いです。個性を大切にする西洋と統一感を大切にする日本。展示方法でも文化があるなと感じます。今回の川瀬巴水展では、額縁の統一感のほかにも、無反射ガラスや3mm厚の紙マットが使われており、観覧者がよりストレスなく綺麗に作品を鑑賞できる工夫がなされていました。主催者や作品を管理している団体の作者や作品に対する敬意が感じ取れます。

 コロナ禍で休館している美術館が多い中、私が訪問した美術館は緊急事態宣言や蔓延防止法の対象外の地域にあるため、幸いにも開館していました。人の入りはさほど多くなく、蜜にならない距離感は保てていました。展覧会へ足を運ぶと、作品を鑑賞するのみならず、作家の生い立ちや作品の描かれた背景などの説明ボードが設置されています。これらを読んで作品を鑑賞するとしなのとでは、作品の理解度が大きく異なります。事前に知識を得る事で様々な角度から作品を鑑賞でき、細かな所までチェック出来ます。例年であれば、人が多く説明ボードやゆっくりと作品鑑賞は出来ないのですが、今回は思う存分時間をかけて鑑賞出来ました。
 コロナ禍では珍しく、充実した時間を過ごせるとは、嬉しいような、申し訳ないような・・・。近所のスーパーでの買い物や感染を恐れて自宅にこもるよりも、開館している美術館の方がより安心で、適度な運動になり、教養も身に付き、良い事だらけではないか!?と思ってしまいます。